インタビューVol.3 「最愛の夫の死」を癒した運命の出会い。誰よりも「サンドアート」を愛する人(「グラスサンドアートstudio.K」一家香織さん)


2023.7.28

Vol.3
「グラスサンドアートstudio.K」
一家香織さんを聴かせて!

作家さんのインスタグラムを見てみる!

(写真:一家さんのサンドアート作品)

 

 「運命の出会い」を誰でも一つは心に持っているのではないだろうか。「グラスサンドアートstudio.K」一家(イッカ)香織さんの「運命の出会い」は「サンドアート」との出会いだ。サンドアートとは砂で絵や文字を描くアートのこと。一家さんの技法では水晶を加工・着色した砂を使用している。また一家さんの行っているグラスに入れるサンドアートでは、スプーンを持つことが出来れば小さな子どもからお年寄りまで幅広い世代が楽しむことが出来る。

「もっとみんな、やればいいのに!」サンドアートを広めていきたいと語る一家さん。サンドアートの魅力を熱心に語ってくれる彼女だが、その「運命の出会い」の直前には、最愛の夫を亡くすという悲しい出来事があったという。「サンドアートに救われた。」そう語る彼女の創作活動、そしてサンドアートへの想いに迫る。

 

(写真:亡き夫との共通の趣味であった「ハーレー」とそれをモチーフにしたサンドアート)

 一家さんは元々ハンドメイドが好きな専業主婦だった。2006年に結婚し、3人の子宝にも恵まれた。洋裁やハワイアンキルトなどを習得し、趣味として作品を作っていた。

しかし2021年春、最愛の夫が他界する。大黒柱を失ったが、すぐに外に出て働く気は起きなかった。その理由は、まだ幼い子どもたちの存在。「子どもたちと一緒に過ごしたい」その想いから家で出来る仕事を探し始めた。

そんな時、偶然インスタグラムで目にしたのが「サンドアート」の作品。サンドアートのことは全く知らなかったがとても気になり、色々と調べてみた。そして、やってみたいと思った。2022年春、サンドアートを学び始め、その年の間は家で練習を繰り返し、子どもたちを相手にワークショップのようなことをし経験を積んだ。

そして2023年1月、初めてマルシェに参加。それをキッカケに外に出て活動を始めるようになった。「外に出ると、色々な出会いがあってとても良いです。」今ではすっかりアクティブな彼女の活動を子どもたちも応援してくれているという。マルシェ出店も積極的に手伝ってくれる。「半分はキッチンカー目当てだと思いますけどね。」と母は見抜いているが。

 

(写真:一家さんの作品)

 彼女が心から愛を込めて創作しているサンドアートの魅力は多岐に渡るという。

諸行無常の象徴ともされる砂の「その時、その瞬間しか出来ないアート」を生み出せること。ワークショップを行うと、子どもたちの本当に満足そうな笑顔が見られること。発想力、感性の成長に繋がること。大人も普段はなかなか使わない脳を使って、新鮮味を感じられること。砂を扱うだけで、心身共にプラスなことが多い、と彼女は身をもって感じている。

サンドアートは夫の他界から回復した時の気持ちにも当てはまった。救われた。楽しくて、癒される、と彼女は教えてくれた。

 

 彼女の今後の目標は「たくさんの人にサンドアートを知ってもらう」こと。そしてオーダーを受けて自分の為に、他者の為に、こだわりを提供していくこと、だそうだ。

(写真:ワークショップの様子)

 「運命の出会い」で結ばれた夫としばしの別れを経験した後、新たな「運命の出会い」がやってきた。夫が一家さんに届けてくれためぐり合わせなのかもしれない。

深い愛情を込めて作り上げる彼女のサンドアート作品。砂一粒一粒にまで、彼女の想いが込められている。そんな力作たちが、ぜひもっと多くの人たちに届いてほしい、と筆者はつい目頭が熱くなってしまう。

しかし彼女はあくまでも、「砂、楽しいから一緒に遊びましょう!無限に楽しめるよ!」と明るく話す。サンドアートの魅力がそこまで奥深いとは、聞いてみないとなかなか分からない。

これから地道な活動が実を結び、多くの人に魅力が伝わっていくだろう。一家さん、これからも応援しています!

 

(インタビュー・執筆:戸田のり実)

 

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