インタビューVol.1 貝殻に、地元に、新たな輝きを。ふるさと積丹に想いを馳せながら作り上げる唯一無二のアクセサリー作家(「アトリエ海の音」藤田嶺さん)


2023.7.21

Vol.1
「アトリエ海の音」
藤田嶺さんを聴かせて!

作家さんのインスタグラムを見てみる!

(写真:レイさんの地元、積丹半島神威岬の風景)

 どんな人にも「ふるさと」がある。そして、ほとんどの人にとって「ふるさと」は特別な想いのある場所ではないだろうか。

現在、北海道札幌市で活動する「アトリエ海の音(おと)」チーフクリエイターのレイさんは北海道西部の積丹(しゃこたん)半島出身。彼女も「ふるさと」に並々ならぬ想いを持つ一人だ。そしてその想いは、彼女の産み出す「エゾアワビシェル」作品の一つひとつに込められ、多くの人の元に届き始めている。

ぜひ、読者の皆さまも、自身の「ふるさと」に想いを馳せながら、彼女の想いと彼女の作品一つ一つからいまにも聴こえてきそうな積丹半島の海の音に耳を傾けてみてほしい。

  (写真:ピカピカに磨き上げられたエゾアワビ)

 レイさんが作り出す作品は、地元積丹で獲れる「エゾアワビ」の貝殻を丹念に磨き上げ、ピカピカに光らせた「アワビシェル」を使ったアクセサリーがメインだ。従来であれば廃棄されるはずのアワビの貝殻を磨き上げるという独自の技法。学生時代の旅行先ニュージーランドで貝殻を磨き上げる技法があることを知ったことが、発想のキッカケとなった。

「『エゾアワビ』を磨き上げてるのはおそらく日本で、世界で、私だけです。」

レイさんの地元、積丹半島では「エゾアワビ」漁が盛んに行われている。レイさんの伯父もエゾアワビの漁師だ。

(写真:エゾアワビを使用した作品) 

 2021年夏、それまではキッズアパレル販売員であったレイさんは自身の年齢のことや子どもたちの成長で時間を確保出来やすくなったという環境の変化から、何か新たな取り組みを始めたいと思っていた。

そんな時にふと思い浮かんだのは、ニュージーランドの貝殻加工の話と「ふるさと」の風景。

地元の古平町は積丹半島に位置する町でかつてはニシン漁で栄えた。近年は人口減少や過疎化が進み、今では中学校までしか学校もない。レイさんの青春が詰まった地元の高校は閉校してしまっている。

札幌市民になっていたレイさんには「地元を出てきてしまった人間が『地元に貢献したい』と言っても良いものだろうか……。」という葛藤があったという。しかし、地元にいる漁師の伯父に連絡を取りエゾアワビの貝殻を早速送ってもらった。そして独自に研究を重ねアワビを磨き上げることに成功した。そのピカピカな貝殻を用いて作られたアクセサリーは天然素材ならではの唯一無二の輝きを放っている。

 

 最近では地道な活動が徐々に実を結び始めている。

SNSでの販売や札幌圏を中心としたマルシェイベント参加に加え、彼女の地元を盛り上げることに対する熱意で、昨年のゴールデンウィークには実家の目の前で作品の販売会を行った。

「誰もお客様が来ない覚悟で」行ったイベントだったが、予想外の反響があった。そして彼女と同じように地元を盛り上げる為に活動している人と繋がることも出来た。

また今年、彼女のSNSを見た地元企業から連絡があり、その縁で会社の駐車場でマルシェイベントを開催。「地元に久々に活気が戻った!」と目を輝かせるほどの大成功だったという。

 

 (写真:実家前で行ったイベントの様子)

 今の彼女の目標は「ビジネスとしても作家活動を成功させること。そして、町を出た人にしか分からない視点で、地元をもっと盛り上げていきたい。」

 誰もが胸を熱くして語らずにはいられない自身の地元。衰退していく姿に胸を痛めながらも、「自分に出来ることは何か」と活動を続けるレイさん。そんな彼女の作家活動を、これからも応援せずにはいられない。

 

(インタビュー・執筆:戸田のり実)

 

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作品も沢山載っています♪ 皆で応援しましょう!

 

 

 

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